「Chirem(チレム)」は、カザン・クレムリン内に位置するモダンなレストラン。名称はタタール語で「」を意味し、伝統的な料理へのアプローチにおける刷新とみずみずしさを象徴している。

春の若草

インテリアは簡潔さ、自然のモチーフ、歴史的な趣を組み合わせている。白いヴォールト天井の壁には牧草をモチーフにしたレリーフが施され、軽やかさと自然とのつながりを感じさせる。空間は温かみのある自然なトーン——柔らかなベージュ、明るい木材、深いグリーンでまとめられている。家具は無垢のオーク材、テキスタイルは天然のリネンとコットンを使用。シンプルながらエレガントなフォルムが、ミニマルなコンセプトとの調和を際立たせている。ホールに余分なディテールはないが、一つひとつの要素に意味が込められている。棚には希少なハーブとお茶、タタルスタンの美食と文化に関する書籍が並ぶ。照明は控えめで温かく、光源は古い提灯を思わせ、柔らかな輝きを広げている。生きた植物のアクセントが空間に居心地の良さと瑞々しさを添えている。

メニューは、伝統とモダンな技法を組み合わせながらタタール料理を再解釈したもの。前菜には馬肉の生ハム、鴨肉、自家製ピクルスが並ぶ。温かい料理にはステーキ、アズー、炭火焼きの肉料理が含まれる。焼き菓子は薪窯で焼き上げられる。お茶のメニューには希少な品種とハーブブレンドが揃う。